相容れぬ思ひもちゐき
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応(こた)へなき姑(はは)に向ひて姑の子ら
こもごも己(おの)が名をいふあはれ
衰(おとろ)へて眠れる姑が唐突に亡き舅(ちち)呼ぶをまじまじと見き
朝暗き部屋を点して冷えそめし姑の死顔を剃りてととのふ
永病みし姑の柩に朝夕にみがきてやりし入歯も納む
年永く歩めず逝きし姑の脚細々として足裏うすし
年永く病みたる故に姑のお骨灰多くして抱けばかろし
祖母が危篤状態に陥る前、何日も高熱が続いたように記憶しています。このとき母は36歳、私は中学二年生で、夏休みの間の出来事でした。
二句目のことは今も良く覚えています。意識が無いように見えた祖母が、突然目を開けて祖父のことをはっきりと呼んだので、母はとても驚いたと言っていました。
祖母が亡くなくなったのは夜中のことでしたので、兄も私も眠ってしまっていたのですが、何年も後になってから母が私達に、「あのとき、夜中でもお前達を起こせばよかった、ひとが死ぬということはこういうことなのだよと見せるべきであったかもしれない」と言ったことがありました。
祖母の葬儀が終わった頃に今度は母の具合が悪くなり、なぜか私も同じ状態になったのですが、二人で1週間も寝込むことになります。
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わびしさの極まりにけり舅姑の襁褓(むつき)縫ひつつ雨にこもれば
病もて口きけぬ舅(ちち)に何ごとか問ひかくる姑の低き声する
病む舅の皺伸ばしつつ白き髭剃りゐてふいに涙こぼれき
指先にガラスの曇りぬぐひつつ臥す舅姑に初雪を告ぐ
死期迫る老がしきりに空に出す意識なき手を握りてやりぬ
常臥しの姑(はは)に心を残しつつ舅逝きたまふ春待たずして
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病む姑を看りつつ思ふ職も技も持たざるわれの老ひし日のこと
わが姑の癒ゆる日あらば奇跡とぞ
にべもなく医師はわれに告げたり
家隅に癒ゆる当てなく臥す姑はわれの脳裡を消ゆることなし
座りゐる様いぶかりて吾がかけし手に意識なき舅は倒れ来
もの問へばうなづくのみの病む舅に真白き髭はいたく伸びたり
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